2007年08月23日

ムシャーマ その10【ミルクさんとおばあ達のコーラス】

ムシャーマ その10【ミルクさんとおばあ達のコーラス】
夕方の道ズネー後、北部落のがじゅまるの木の下での弥勒節コーラス(2001年)

ムシャーマ その10【ミルクさんとおばあ達のコーラス】
同(2004年、広島県在住内田さん撮影)

 午前、午後の道ズネーの最後、かすりの着物に太鼓やクバオージを手に「弥勒節」を謡いながら道ズネー行列の中ほどを歩いていた婦人グループが、道ズネーを終えたミルクさんを囲み「弥勒節」のコーラスを奏でます。曲は八重山では「弥勒節」と「やらよう」のセットが一般的ですが、波照間島のムシャーマの東組では「やらよう」は謡われていません。よく聞いてみると、竹富島「種取祭」CDに収録されている「しーざ踊」と同じ謡のようでした。

 「弥勒節」はミルク神とそこからもたらされる恩恵を讃えたものですが、波照間で3番の歌詞「弥勒世ぬしるし 十日越しぬ夜雨」というくだりを聞くと、水に対する切実な思いが伝わってきて胸にジーンと響くものがあります。「しーざ踊」は、1番は「かぎやで風」(波照間では「御前風」)とほぼ同じ歌詞で、現実的な首里王府からの恩恵を讃えているようです。教訓的なニュアンスを交えながらこの日の喜びを率直に表現しているところも見受けられます。

 ミルクさんのおだやかな表情と、もたらされる世果報の恵み。それを讃える、神女といってもよい域に達している婦人達のコーラスの神々しさ。言葉にしようのない美しさです。まるでこの世のものではない、あの世からの歌声のよう。豊かな実りと慈雨への切実な思い、島の先祖を大切にする思い、島の自然や神様への感謝の思い。これらが凝縮されているように聞こえてきます。島の人間ではない人も、自分たちの先祖や地域のことについて改めて考えさせられてしまいます。


三線ミルク節
大国ぬ弥勒 我が島にいもち 御掛き欲せみしょり 島の主
サンサングヤアサースリサーサー

弥勒世やいもち 遊ばばん遊び 踊らばん踊り 御免でむぬ
サンサングヤアサースリサーサー

弥勒世ぬしるし 十日越しぬ夜雨 掛きぐさいみしょり 御代ぬ記し
サンサングヤアサースリサーサー


三線しーざ踊
今日ぬ誇らしゃや なうにじゃなたてぃる
ちぶでぃうる花ぬ ヤリクヌウネ
露ちゃたぐとぅ 遊ぶさ踊るさ
ヨーシヌヤリクヌシー

首里加那志めでい ゆだんどぅんしゆな
働ちゅるなかどぅ ヤリクヌウネ
果報やしきゅる 遊ぶさ踊るさ
ヨーシヌヤリクヌシー

首里天加那志 むむとぅわいしゅわい
御万人ぬまぎり ヤリクヌウネ
うがでぃすでぃら 遊ぶさ踊るさ
ヨーシヌヤリクヌシー


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Posted by We are OKINAWAN-KOBE at 18:00│Comments(0)ムシャーマ
 
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